
民泊の消防設備|費用と申請の流れ
2026/6/14 23:37:38
「民泊新法では、どこまで消防設備を整えればいいのだろう?」
「家主不在型と家主居住型で、必要な設備は違うの?」
民泊を始めようと調べていると、消防設備について不安を感じている民泊オーナーの方は多いのではないでしょうか。
民泊新法(住宅宿泊事業法)や旅館業では、物件の条件によって必要な消防設備が異なります。
しかし、制度の内容はわかりにくく、インターネット上の情報だけでは「自分の民泊に何が必要なのか判断できない」と悩むケースも少なくありません。
消防設備が不足していれば、届出が受理されなかったり、民泊の運営開始後に指導を受けたりするケースもあります。
この記事では、民泊新法における消防設備の考え方を整理したうえで、家主不在型・家主居住型といった物件タイプ別に必要な消防設備、費用の目安を解説します。
「消防法令適合通知書」の交付申請についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
民泊新法(住宅宿泊事業法)とは
民泊新法(住宅宿泊事業法)とは、一般の住宅を活用して宿泊サービスを提供する「民泊」のルールを定めた法律です。
2018年6月に施行され、原則として自治体への届出が必要となりました。
民泊運営では、宿泊者の安全確保や衛生管理、近隣への配慮などが求められます。
民泊新法については、こちらの記事でくわしく解説しています。
民泊新法とは?民泊を始めるなら知っておきたい法律の知識

参考:民泊制度ポータルサイト
民泊運営における消防設備の必要性
民泊運営では、宿泊者の安全を確保することが事業者の重要な責務とされています。
民泊新法(住宅宿泊事業法)では消防設備の詳細までは定められていませんが、安全確保の観点から、消防法令などに基づく消防設備の設置が必要です。
一方で、旅館業として運営する場合は明確に消防設備の設置について定められています。
消防設備に不備があると、火災発生時に初期消火ができず、避難が遅れるなど、被害が拡大しかねません。
また、消防署の立入検査で不備を指摘されると、是正指導や追加工事が必要となり、民泊の運営開始や継続に影響が出る可能性もあります。
一方、民泊に必要な消防設備を適切に整えておくことで、火災や事故のリスクをおさえられ、スムーズに消防法令適合通知書を取得できます。
安全対策が整った民泊は宿泊者からの信頼につながり、安定した運営にも役立ちます。
消防設備の整備は、法令を守るためだけでなく、安心して民泊を運営し続けるために欠かせないものです。

【物件タイプ別】民泊新法で必要な消防設備
民泊に必要な消防設備は、「家主が常駐しているかどうか」によって考え方が大きく異なります。
また、同じ区分であっても、建物の構造・階数・延べ面積・宿泊室の位置などによって、必要な消防設備が変わる点に注意が必要です。
物件タイプごとに、民泊新法で必要な消防設備について解説します。
家主不在型の場合
家主不在型の民泊は、宿泊者のみで建物を利用する形となるため、旅館やホテルに近い扱いになります。
そのため、火災の早期発見や円滑な避難を目的とした消防設備の設置が求められます。
家主不在型の民泊で設置が求められる消防設備の例について、こちらの表にまとめました。

※建物の規模や用途によっては、上記以外の対応が求められる場合があります。
一戸建て住宅を家主不在型で民泊利用する場合は、新たに消防設備の設置工事が必要になるケースが多いのが特徴です。
一方、マンションやアパートでは、共用部分を中心に消防設備がすでに設置されている場合が多く、追加工事が最小限で済むケースもあります。
ただし、専有部分の用途変更などにより、追加の消防設備を求められることもあるため注意が必要です。
家主居住型の場合
家主居住型の民泊は、住宅としての性格が強いと判断されるため、家主不在型に比べて消防設備の基準は比較的ゆるやかになる傾向があります。
家主が常駐していることで、火災発生時の初期対応が可能と考えられるためです。
一戸建て住宅で家主居住型の場合、設置が必須となっている消防設備は「住宅用火災報知器」のみとされるケースが一般的です。
マンションやアパートで家主居住型の場合は、「宿泊室の床面積の合計」や「民泊を行う住戸が存する建物の用途」などによって、必要な消防設備が異なります。
家主居住型であっても自己判断は避け、必ず必要な消防設備について消防署に事前確認をおこないましょう。
参考:総務省消防庁

旅館業の民泊で必要な消防設備
旅館業として民泊を運営する場合、扱いは「住宅」ではなく、宿泊施設(旅館・ホテルなど)として扱われます。
必要な消防設備は「家主がいるかどうか」ではなく、用途・構造・階数・延べ面積・宿泊室の位置・収容人数などで判断されます。
代表例として、初期消火の消火器、火災を検知して館内へ知らせる自動火災報知設備、避難方向を示す誘導灯などが検討対象です。
規模や条件によっては、スプリンクラーや防炎物品などが求められることもあります。
同じ旅館業でも必要設備は物件条件で変わるため、自己判断は避け、管轄の消防署へ事前相談して必要な消防設備を確認しましょう。
民泊に設置する消防設備と費用4選
民泊で必要となる消防設備は、火災の早期発見、初期消火、宿泊者の安全な避難を確保するために設置されます。
必要な消防設備は、家主の居住有無や建物の規模・構造によって異なりますが、民泊運営で設置を検討すべき、代表的な4つの消防設備についてご紹介します。
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消火器
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自動火災報知設備
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特定小規模施設用自動火災報知設備
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誘導灯
①消火器
消火器は、民泊において火災を初期段階で消火するための基本的な消防設備です。
持ち運びができ、操作も比較的かんたんなため、宿泊者でも使用しやすい点が消火器の特徴です。
消火器の設置場所は、各階ごとに建物内のどの場所からも歩行距離20m以内となる位置が基本です。
特に、キッチンなど火気を使用する場所の近くに消火器を設置すると、初期対応がしやすくなります。
宿泊者の通行や避難のさまたげにならず、すぐに持ち出せる場所に設置することも重要です。
また、消火器の近くには「消火器」の標識を掲示し、英語表記やピクトグラムを併記しておくと、外国人宿泊者にもわかりやすくなります。
5,000円程度
②自動火災報知設備
自動火災報知設備は、火災による熱や煙を感知し、警報音や音声によって建物内の宿泊者に危険を知らせる消防設備です。
自動火災報知設備は火災の発生を早期に把握し、すみやかな避難を促す役割を担います。
なお、自動で消防署へ通報される消防設備ではありません。
自動火災報知設備が作動すると、建物内に設置された感知器や音響装置が連動して警報を発し、火災が発生した場所だけでなく建物全体に危険を知らせます。
自動火災報知設備は、感知器・受信機・発信機・音響装置などで構成され、原則として配線による有線接続が必要です。
そのため、設置時には壁や床の内部に配線工事をおこなうケースが多く、建物の構造によって工事内容が異なります。
30万円〜50万円程度(建物の規模や設置内容によって変動)
③特定小規模施設用自動火災報知設備
特定小規模施設用自動火災報知設備は、一定の条件を満たす民泊において、通常の自動火災報知設備の代替として設置できる消防設備です。
建物の延べ面積が300㎡未満の場合や、延べ面積が300㎡以上500㎡未満で民泊部分の面積が一定範囲内に収まる場合など、条件に該当すると設置が可能になります。
条件に該当しない場合は、通常の自動火災報知設備が必要となるため、事前確認が欠かせません。
特定小規模施設用自動火災報知設備には、無線式の連動型感知器を用いる方式があり、配線工事が不要となるケースがあります。
感知器自体が警報音を発するため、受信機や音響装置を設置せずに運用できる点も特徴です。
一方で、建物の構造や階数、電波状況によっては無線式が使用できないケースもあるため注意しましょう。
1台あたり数万円程度
④誘導灯
誘導灯は、火災時に避難口や避難方向を確認でき、屋外まで安全に避難できるようにするための消防設備です。
出入口や通路、階段など、避難経路上の要所に誘導灯が設置されます。
誘導灯にはこちらのような種類があり、それぞれ設置場所や役割が異なります。

誘導灯は配線工事を伴うため、設置工事は電気工事士がおこなう必要があります。
なお、電源を必要としない誘導標識は補助的な役割を持つものの、原則として誘導灯の代わりにはなりません。
1台あたり5万円程度
参考:総務省消防庁
民泊新法における消防法令適合通知書交付申請の手順
民泊新法(住宅宿泊事業法)による民泊はもちろん、旅館業として宿泊施設を運営する場合も、多くのケースで「消防法令適合通知書」の提出が求められます。
消防法令適合通知書は、対象となる建物が消防法令に適合していることを消防署が確認したうえで交付する書類です。
消防法令適合通知書の交付までの主な流れは、以下のとおりです。
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管轄の消防署に相談する
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必要な消防設備を設置する
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申請書と必要書類を揃えて申請する
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消防署による立入検査を受ける
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「消防法令適合通知書」が交付される
1.管轄の消防署に相談する
民泊の消防対応で最初におこなうべきなのが、管轄の消防署への事前相談です。
民泊では、建物の構造や用途、運営形態によって、必要となる消防設備が大きく異なります。
そのため、自己判断で消防設備を設置すると、あとから是正を求められるケースも少なくありません。
特に、家主不在型か家主居住型か、戸建てかマンションかといった物件タイプの違いによって、設置が必要となる消防設備や範囲が変わります。
消防署へ事前に相談することで、自身の物件において必要な消防設備を正確に把握できます。
消防署での相談時には、建物の図面や間取り、民泊として使用する範囲、想定している運営形態などを伝えましょう。
初期段階で消防署の指示を受けておくことで、不要な設備投資や工事のやり直しを防げます。
2.必要な消防設備を設置する
消防署で必要な設備を確認したあとは、運営する民泊施設の規模や構造、収容人数に応じて消防設備を設置します。
民泊では、建物の階数や延べ面積、使用範囲、宿泊者数によって、求められる消防設備が異なります。
特に家主不在型の民泊では、家主居住型に比べてより厳しい基準が適用される場合があるため注意が必要です。
また、消防設備は種類だけでなく、設置位置や台数にも基準があります。
指示どおりに設置しないと是正を求められることがあるため、必ず消防署の指示にしたがって進めることが重要です。
3.申請書と必要書類を揃えて申請する
必要な消防設備の設置が完了したら、「消防法令適合通知書交付申請書」を作成し、管轄の消防署へ提出します。
申請時には、消防設備が適切に設置されていることを確認できる書類をあわせて提出する必要があります。
提出が求められる主な書類は、こちらのとおりです。
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消防法令適合通知書交付申請書
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付近見取図
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建物の配置図
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各階の平面図
※建物の状況によって他の書類の提出が求められることがあります。
※消防署への他の届出書類と重複する場合は省略できることもあります。
書類に不備があると、再提出を求められたり、立入検査までの期間が延びたりすることがあります。
事前に必要書類を確認し、漏れのない状態で申請するようにしましょう。
4.消防署による立入検査を受ける
申請書と必要書類を提出したあとは、消防署による立入検査が実施されます。
提出書類の内容どおりに消防設備が設置されているかを、消防署員が確認する工程です。
立入検査では、消火器や火災報知設備などの設備の位置が適切かどうかに加え、実際に作動するかの確認も行われます。
設備の設置位置が基準に合っていない場合や、作動に不備が見つかった場合は、是正を求められることがあります。
是正を求められた場合は指摘内容を修正したうえで、再検査が必要になるケースもあるため注意しましょう。
5.「消防法令適合通知書」が交付される
消防署による立入検査で問題がなければ、「消防法令適合通知書」が交付されます。
民泊施設が消防法令に適合していることを証明する重要な書類です。
消防法令適合通知書は、住宅宿泊事業の届出や運営時に提出を求められることがあり、交付されることで消防面の要件を満たした状態で民泊を運営できるようになります。
なお、消防法令適合通知書には有効期間が設定されている場合があります。
また、間取り変更や設備の入れ替えなど、運営内容に変更が生じた場合は、再申請が必要になる点に注意しましょう。
消防法令適合通知書の取得後も消防設備の状態を定期的に確認し、法令に適合した状態を維持することが大切です。
民泊新法を遵守した消防設備を設置して安心して民泊を運営しよう!

この記事では、民泊新法(住宅宿泊事業法)の民泊を中心に、物件タイプ別に必要となる消防設備や費用の目安、消防法令適合通知書の交付申請手順まで解説しました。
あわせて、旅館業(簡易宿所など)として宿泊施設を運営する場合も、建物の条件に応じて消防設備の整備と手続きが求められる点を押さえておきましょう。
宿泊者を受け入れる以上、消防設備は形式的な義務にとどまらず、安全と信頼の土台になります。
民泊新法(住宅宿泊事業法)の民泊では「家主不在型/家主居住型」で考え方が分かれますが、旅館業の宿泊施設では「用途・構造・階数・延べ面積・宿泊室の位置・収容人数」などで判断されるのが一般的です。
民泊に必要な設備は物件の条件によって変わるため、自己判断で進めると追加工事や是正指導につながりかねません。
まずは管轄の消防署へ相談し、指示にそって設備を整えることが、無駄のない準備とスムーズな運営開始につながります。
法令に適合した安全な環境を整え、安心して民泊運営を続けていきましょう。
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